さてと、我慢できなかったのでね、書くよ!
以前に、電気・電源について書いた。主にIT機器での電源について書いたのだが、エレキギターをはじめとする電気楽器にも通用する内容なので、「ギター、ノイズ」などの検索キーワードで訪れる人が多い。
さて、プロと呼ばれるすばらしい演奏技術を持っている方々においても、残念ながら、この「電気・電源」につ
いては正確な知識を持っている方は少ない。
「3Pコンセントでアースが取れないときでも、大気中に放電させることも可能!」
などと、とんでもないことを教える人たちもいるほどで。
※ その狭いコミュニティーの中で「知っている人」と認定されてしまうと、「井の中の蛙」状態に気付かなくなっちゃうのでしょう。(T_T)
下敷きををこすって髪の毛が引かれる小学校・理科の実験を覚えてるだろう。人体や地面と、下敷きとの電位差はどの程度だったかな?エレキギターのピックアップ出力より小さい電気エネルギーが、大気中を放電できるか?商用AC100vが大気中で放電するか?
放電現象は自然界にもさまざまある。雷なんて身近だね。「大地との電位差がどの程度で放電が可能になるか?」はインターネット上に転がっている情報だから、検索してみてくれ。探せないで、
「3Pコンセントでアースが取れないときでも、大気中に放電させることも可能!」
なんてことを信じていたら、これはまた迷惑なことだ。
まぁ、バック・トゥ・ザ・フューチャーでマーティーが現代に戻るために雷エネルギーを使ったけれど、xxxジゴワット!という単位だったよね。ギターピックアップの出力は数ミリボルトから数十ミリボルト。歪み系のEFXやブースター利用で数ボルトまで増幅はするけれど、ノイズとして感じる信号もほぼ同レベルのオーダーとして考慮すると、タイキ放電する雷よりはるかに小さいエネルギーだって事は理解できるはず。
電圧(V) × 電流(A) = 電力(W)
だから、数ミリボルトでも電流値が大きいのでは?なんてのも無し。壁の100Vを利用している電気エネルギーが、雷に匹敵しているかどうか?と言う事なんだから。
ここに書いてあること程度の知識もなしに、「漏電!」とか言っている人は迷惑だぜ!
で、某ホールでは、2Pコンセントで、ギターアンプやPA機器の電源を取り回ししているので、機器の電源の位相があっていない部分で、かつ、各機器同士でシャーシ電位が接続されていない部分で、電位差がある。シャーシアース(ギター弦)は、大地に設置できていない。当然、
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「ジー」ノイズは出ているし、
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ギターを弾きながらPAマイクに唇が触れると、「電撃ショック」を受ける。
ホールの正規従業員ではなく、委託の「プロのPAマン」が常駐・管理しているのだが、この「電撃ショック」に対して、
「また、漏電ですか・・・」
と言いながら、マイクのシャーシ(マルチボックスのシャーシ)を、建物の金属と、大きなワニ口クリップケーブルで短絡していた。どうやら、PAシステム(マイクからミキサーを通して各種EFXやアンプすべて)のシャーシ部分が、一箇所も大地と設置されていないようだ。
ギターアンプも大地と設置されていないのだから、
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PAシステムのシャーシ電位とギターアンプのシャーシ電位に、「感電ショック」を感じる程度の電位差がある、
ということ。
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電撃ショックを防ぐだけなら、PAシステムのシャーシ電位とギターアンプのシャーシ電位の差をなくすために、ギターアンプのシャーシとPAシステムのシャーシを短絡させれば、それで済む。
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それぞれのシャーシを大地に設置させていれば、ギターアンプのシャーシとPAシステムのシャーシが大地と同電位、電位差が無いので電流が流れず、それでも済む。
※ こちらのほうがお勧めだ!
※ わに口グリップで短絡させ、感電を防止する方法は正しい。
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漏電ならば、漏電遮断器が動作するはずだけれど・・・・(設置は必須でしょう?)、
※ 可能性を考慮すると、漏電でも遮断機が動作しないこともあるだろうが・・・
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漏電遮断器が動作すれば、ギタープレイヤーが感電することも無いのだけれど・・・・、
※ 電源供給停止なので、ギターアンプ・PAからも音は出ないけれどね。(^_^;)
現状では、心臓に除細動器やペースメーカーを仕込んでいる人なら、「死ぬよ!」
初出 Jun 11 2009